あの時からずっと、君は俺の好きな人。
だが、こうやって文字にされてからかわれるとどうやって反応したらいいかわからない。

だから適当なスタンプを返信して、私は美結とのやりとりを勝手に終わらせた。

ーー水野くんが隣に居てくれるから、最初に感じた程の大きな恐怖はない。

しかし、新幹線が眼前で止まってしまうと、どうしても私の足は動かない。頭では動けと命令しているのに、体が反応してくれなかった。

私がそんな調子なのですでに2本も新大阪行きを見送ってしまっていた。次の新幹線も既に数分後に迫っているが、こんなんじゃ乗れる気がしない。


「ーー水野くん」

「んー?」

「次は私乗れなくても行って。さすがに悪いよ。水野くんの修学旅行を私のために潰せない」


すると彼は大袈裟に眉をひそめた。


「いやいや、そんなわけにはいかんでしょ。俺が居ても乗れない人が、1人で乗れるわけないじゃん。付き合うよ」

「でも……」

「いいから。みんなだって待ってるし。吉崎さんを置いていったりなんてしたら、美結ちゃんに怒られちゃうし」
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