あの時からずっと、君は俺の好きな人。



新大阪に着いた時、スケジュールを確認したらみんなは大阪城の見学をしている時間帯だった。

しかし、今から私達が大阪城へ向かっても、到着する頃にはみんなはもう見学を終えていそうだった。

だから私と水野くんは、新大阪から直接宿泊先のホテルへ向かうことにした。

最寄り駅から少し離れていたホテルへ2人でタクシーに乗って到着し、中に入ると、私はあれ、と思った。

古いけれど、手入れの行き届いた清潔感のある内装。ロビーに設置された趣のあるソファとテーブル、調度品の数々。

そして中庭の奥に見える、屋内プール。

ーー間違いない、ここは。


「私、ここに来たことある」

「え?」

「ーー事故の直前にここに泊まった」


大会を終えた後にテーマパークに行くことになって、ロビーではしゃいで怒られたなあ。

ホテルにいる間は、ほとんどあの屋内プールで泳いで過ごしたっけ。

朝食ビュッフェでデザートばかり盛り付けて、ママに注意された覚えもある。

見紛うはずがない。あの時に泊まったホテルだ。私とパパとママの最後の思い出。
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