あの時からずっと、君は俺の好きな人。
1人では新幹線に乗れなかった私に付き合ってくれて、こうして細かく心配してくれて。

私にとっては大したことなんだよ。ーー言っても「そんなことないよ」と否定されそうだから言わないけれど。


「それより、みんなはまだこのホテルに着いてないのかな?」

「時間的には、そろそろここに着く頃だと思うけど……」


水野くんの問いかけに私がそう答えたその時だった。


「藍ー! 着いたんだね! 水野くんも!」


ロビーの出入口の方から、聞き慣れた高い声が聞こえてきたと思ったら、美結が小走りで寄ってきて、私に抱きついてきた。


「よかったー! もう、心配したんだからね!」

「あはは……ごめんね」


熱烈な美結の歓迎に、私は気圧されて苦笑を浮かべながらも、嬉しくなる。

美結の後ろからは次々に同級生達がホテル内に入ってきた。

そしてその中から、新田くん、内藤くん、三上さん、坂下さんが私たちの元へとやってきた。
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