あの時からずっと、君は俺の好きな人。
「おー、よかったな、二人とも無事たどり着いて」

「お疲れ様」


新田くんと内藤くんがそう言うと、「大阪城どうだった?」「あんまり楽しくなかったから来なくて正解」「近くで食べたたこ焼きはうまかった」なんて、男子同士で会話を始めた。


「ーー藍、ちょっとこっち」


するとそんな彼らから少し引き離されるように、私は美結に引っ張られる。そして何故かニヤニヤしている女子3人に囲まれた。


「ちょ、ちょっと何……? みんなキモイよ」

「みんなとはぐれてる間に水野くんと進展あったの?」


美結の問いかけると、三上さんも坂下さんも私に向かって身を乗り出してきた。

ーー坂下さんもご存知なのか。美結か三上さんが言ったのかな。

それとも私の気持ちは見ればわかるらしいので、坂下さんが自分で気づいたのか。ーーまあどっちでもいいけど。


「進展って……」

「えー、何もないの? 好きな人の話とかした?」


残念ながらそういったことに関して進展はない。
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