あの時からずっと、君は俺の好きな人。
ーーすると。


「しょうがねーなー。わかったよ」


と、新田くんの言葉をそのまんまコピーして承諾する水野くん。

できるだけ大会になど出たくないクラスのみんなは、再び大袈裟に拍手した。


「さて。あと男子はあと1人なんですけど……立候補いないようなら、タイムが早い人から選びます」


そう言いながら、水野くんは体育の先生にもらったクラス全員のクロール25メートルのタイム表を眺めた。

ーーそうなのだ。やりたい人がいなければ、タイムが早い人が自動的に選手として選出されるのは、伝統的に暗黙の了解だった。

記録がいい人が断って、それよりも泳ぐのが遅い人が選手になるのはどうもおかしいので、この選び方で名指しされると、拒否権はほぼなかった。


「えーと、1番早いのは……内藤涼太(ないとうりょうた)!」


意外な名前が呼ばれて、私は驚く。内藤くんは、授業中ほぼ寝ていてよく先生に注意されているので私も知っていた。
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