セカンド・プライオリティ
「おう、りょーちゃん!」
颯は…全身のいろんなところにぐるぐると包帯を巻かれているものの、拍子抜けするほど元気だった。
「全身鞭打ちでちょっと今まだ起き上がれなくて…」
「は…」
こちらに顔だけを向けた状態の颯は、ものすごく普通に笑っている。
「あと、検査で1週間くらい入院することになっちゃった」
「…」
「あ、でも太一に話は通してあるから!りょーちゃんにだけ負担が行くようなことにはならないように…って、どうした?」
張りつめていた緊張の糸が解けていく。
なんだか全身から力が抜けて、俺はそのままベッドの横にあった椅子へと座り込んだ。
「…無事でよかった」
ほぼ無意識に気持ちが口から零れ出て、そのまま首をうな垂れる。
颯がバイクで事故って病院に運ばれた、そう太一から連絡を受けたときには…冗談抜きで心臓が止まるかと思った。
「…心配かけて悪かった」
「本当だよ、ったく…」
見上げた颯の表情は少しだけ困ったように眉が下がっていて、俺の心配がようやく伝わったのかと大きなため息がひとつ溢れ出た。