セカンド・プライオリティ
結局打ち込んだ５文字の言葉を送信することも消すことも出来ないままホーム画面に戻したスマホをテーブルに伏せ、そのまま一緒に突っ伏して寝てしまい。
そんな私を夢の中から引き起こしてくれたのは、一本の着信音だった。

「ごめんね迎えに来てもらっちゃって…」
「ううん全然。ちょうどこっちに用事があったから大丈夫」

一瞬だけこちらを向いて微笑んだ森ちゃんが、再び視線を前方に戻す。

多分嘘なんだろうな…
確信はないけれど、なんとなくそうなんじゃないかなと思った。

彼女の家は私の家とは正反対。
彼女が私のことをわかってくれているのと同じくらい、私も彼女の性格をある程度はわかっているつもりだ。

森ちゃんはきっと全てをわかっていて、その上で今の私が求めている以上には踏み込んでこない。

…ありがとう。

まっすぐに前を見据えてハンドルを握る彼女の横顔に心の中でお礼を呟いた。

いつもいつももらってばかりで、どうしても申し訳ない気持ちは拭いきれないけれど。今はそんな彼女の無償の優しさが心地よくて、ただただそれに甘えていたかった。
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