セカンド・プライオリティ
「…こ、美己!」
「っ…?」
ぼんやりとした思考のまま、ゆっくりと開いた瞳に森ちゃんの顔が飛び込んでくる。
「あ、ごめん…私寝ちゃってた?」
「まだ全快じゃないんだよ、きっと。今日も無理しないで、限界がくる前にちゃんと言うんだよ」
心配そうな表情を浮かべる彼女を安心させるように微笑む。
「…うんありがと。森ちゃん…いや、お母さん?」
「せめてお姉ちゃんにしてくれない?」
顔を見合わせて笑い合ってから、車のドアを開けた。
さあここからは仕事。いつまでもうじうじしてなんかいられない。
「よし!」
両手のひらで挟んだ頰を小さくひと叩きして気合いを入れると、隣から笑い声が聞こえた。
「え、なに?」
「や、変わってないなーと思って。そのパチンってするの」
「そうだっけ?」
「もしかして無意識?緊張してる時とか気合い入れる時とかによくしてるイメージ」
自分でも気づいていないところまで見られていることは、恥ずかしくもあるけれど。
「でもそれまでどれだけ不安そうな顔をしてても、そのパチンの後にキリってプロの顔になるの。それが本当かっこいいなって思っていつも見惚れちゃうのよ。…もちろん今日も」
いつも見てくれている人がいる。大好きな仕事をするその中で、そばにいてくれる人がいる。それは心から嬉しいことだった。
そんな人の温かさを感じながら、私はスタジオの中へと歩みを進めていった。
「っ…?」
ぼんやりとした思考のまま、ゆっくりと開いた瞳に森ちゃんの顔が飛び込んでくる。
「あ、ごめん…私寝ちゃってた?」
「まだ全快じゃないんだよ、きっと。今日も無理しないで、限界がくる前にちゃんと言うんだよ」
心配そうな表情を浮かべる彼女を安心させるように微笑む。
「…うんありがと。森ちゃん…いや、お母さん?」
「せめてお姉ちゃんにしてくれない?」
顔を見合わせて笑い合ってから、車のドアを開けた。
さあここからは仕事。いつまでもうじうじしてなんかいられない。
「よし!」
両手のひらで挟んだ頰を小さくひと叩きして気合いを入れると、隣から笑い声が聞こえた。
「え、なに?」
「や、変わってないなーと思って。そのパチンってするの」
「そうだっけ?」
「もしかして無意識?緊張してる時とか気合い入れる時とかによくしてるイメージ」
自分でも気づいていないところまで見られていることは、恥ずかしくもあるけれど。
「でもそれまでどれだけ不安そうな顔をしてても、そのパチンの後にキリってプロの顔になるの。それが本当かっこいいなって思っていつも見惚れちゃうのよ。…もちろん今日も」
いつも見てくれている人がいる。大好きな仕事をするその中で、そばにいてくれる人がいる。それは心から嬉しいことだった。
そんな人の温かさを感じながら、私はスタジオの中へと歩みを進めていった。