アーティスティックな男の子。
『毎回違う人連れてその人の家まで送ってるからね。』
「妹が迷惑かけましたっつー慰謝料としてな。」
『てへぺろ☆』
「だからキモイ。」
「…あ、思い出した。アンタのことどっかで見たことある顔だなって思ったら、あの澄空秋か。」
「…澄空秋?学園のトップヴォーカリストだった?」
「そ。一世一代の超天才のヴォーカリスト。歌声を聞いた者はファンにならざるを得ないという魅力的のある声をしているという…歌唱力も表現力も抜群という、あの澄空秋が今、目の前にいる。…よく見るとやっぱイケメンだわ。」
「…ちゃんと肌も手入れしてる。爪も綺麗。」
「ちゃんとブランド物じゃなくても清潔感のある着こなしだし、カリスマ的オーラがヤバい。さすが澄空秋。妹とは大違い。」
「それな。」
『うおおい聞こえるぞ!明らかに貶されてるのが!!』
「だよな。これでも日頃から食べもんとか色々気をつけてんだよ。どっかの誰かさんとは違って。」
『秋も便乗しないの!!』
「…同じDNAとは思えないこの性格の差。」
「残念な美人。」
『褒めてるの!?貶してるの!?』
「明らかに貶してんだろ。っし、行くぞー。お前らどこら辺?」
「オレは花美町。」
「…高浜町。」
「お、どっちも大学の近場か。」
『つか隣町な。』
「じゃ、まず花美の方からな。」
そうして、零君と瑞希君はそれぞれに帰っていった。
「今日、飯どーする?」
『あー…家帰りたい。』
「じゃ、買い物して帰んぞ。」
『うぃー。』
ちなみに、秋と私は二人暮らし。
一緒に住んで…もうそろそろ五年か?
忘れた。
40階建ての高層マンション。
それの一番上の階に住んでる。
「今日は時間無ぇし、カレーな。」
『うん。秋が作る料理って基本全部美味しいから全然いいよ。』
「サンキュー。じゃ、手は洗えよ。」
『分かっとるー。』
…秋は多分、過保護の部類に入ると思う。