好きになってはいけないんだ。
「おーい、生きてるー?大丈夫ー?」
私の視界にぷらぷらと手を振る瑛人の手が映る。
ふと顔を上げると瑛人はにかっと笑ってこっちを見ていた。
「なんで…なんでそんなに強がるの?」
その瞬間瑛人の顔が少し強ばるのが分かってすかさず次の言葉を続けた。
「ほら、どうせ高校で別れるかもしれないクラスメイトじゃん?
吐き出しちゃいなよ。
今強がったのは全部じゃないでしょ?」
「何言ってんの。」
明らかに声色が変わったのは気づいたけど聞いてしまったのだから私だってここで負ける訳にはいかない。
「だから吐き出しちゃいなよって。
考えてることそのまま。
自制して言葉変えたりしなくていいから。
私諦め悪い女だから吐き出してくれるまで帰してあげないから。」
1分はあっただろうか。いやもっと短かったのか長かったかもしれない。
そんな沈黙を破ったのは瑛人の机を強くバンッと叩いた音だった。