ねえ、きみがすき
「いいよいいよ!申し訳ないし…」
胸の前で左右に手を振って断った。
【なんで?女の子なんだから、1人で帰らせるわけないでしょ】
…そんなことを恥ずかし気もなく言えるなんて、さすが。
やっぱりシオンには外人の血が混ざってるんだな~って実感する。
というか海外で長く生活するとこんな感じになるものなの…?
「…じゃあ、お願いしようかな」
何度断っても同じかなと思ったから、結局先に折れた。
住宅街の真ん中あたりに立つあたしたちの学校のまわりは、この時間帯だと閑散としていて、そんな中であたしとシオンは駅に向かって歩いていく。
こうやって歩いているとあたしたちって恋人に見えるんだろうか。
いや──黒髪のような茶髪に、カラコンを外したせいで碧眼の背の高い少年と、ただの女子高生じゃそんな風には見えないか。
同じように定期を使って自動改札機を通過し電車に乗って最寄り駅で降りる。
普段なら一人で行っていたこの行動も、シオンと一緒だってだけで不思議に感じる。