ねえ、きみがすき
「…あ、ここ、あたしの家」
少し先を歩いていたシオンの肩を軽くトントンと叩き、マンションのすぐ近くで足を止め、それを指差した。
彼はなぜがすごく驚いたような顔をしている。
「どうか、した?」
【ここ、俺も住んでる。ついこの間からだけど】
「え!!」
その文面に今度はあたしが驚く番だった。
うそ…まさか、そんな。
あ、でも待って、そういえばあたしたちの隣の部屋に新しい人が入居してきて、クッキーもらったよね。
それに、あたしエレベーターで金髪の人にも会った。
え…待って待って。
まさかあのときの金髪の人ってシオンだった──!?