冷たい幼なじみが好きなんです
「どしたの竜?」
そんなこそこそやってくるなんて、と不思議に思って首をかしげる。
すると小さな紙袋を差し出された。
「…?」
「誕生日プレゼント」
そう言って手渡され、「…え?」とワンテンポ遅れて反応してしまった。
もしプレゼントくれるなら、優香と一緒にくれたらよかったのに。
紙袋の中をのぞくと、小さな箱が入っていた。
紙袋にも箱にも、アルファベットで同じブランド名が刻まれている。
これって……今人気のスポーツメーカーの腕時計だ。
「時計、無くしたって言ってただろ!」
竜はそう言って白い歯を見せてニッと笑った。
数日前遥斗からもらった時計をなくした次の日、わたしは念のため一度学校のなかも探し歩いた。
そのとき優香や竜にも「無くしたんだけど見ていないか」と聞いたのだ。
当然のようにふたりは知らないと言った。
竜はそれをきっかけに、この腕時計を選んでくれたようだ。