冷たい幼なじみが好きなんです


もう、胸の奥底にしまっているだけじゃ駄目なんだ。


遥斗へのこの“気持ち”なんて……消すんだ。全部消すんだ。


今、わたしの胸がとてつもなく痛いのは、きっと気のせいだから──

──ピリリリリ

そのとき、机の上に置いてある携帯が振動とともに鳴り響いた。


だれかから電話がかかってきたみたいだ。


電気を消してもう寝る体勢に入っているわたしは、その場で机まで腕をうんと伸ばして手探りで携帯を手に取った。


そのとき、指が“通話”ボタンに触れてしまっていたようだ。

『──ベランダ』

そんな声が耳を当てるところから聞こえてきたと思ったら、次にわたしの耳に届いたのはプーップーッ…という機械音だった。


……え?

な、なに……?

今のって……遥斗の声、だよね……?

その声を聞いたとき、わたしの心臓は反射的にどくんと音を立てたんだ。

着信履歴を確認すると、やはり5秒前にわたしに電話をかけてきたのは“二宮遥斗”だった。


ベランダって、なに…?どういう意味?

なんとなく意味がわかってしまうけど、わからないふりをする。

だって、わたしは遥斗ともう関わらないと決めたばかり。

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