冷たい幼なじみが好きなんです


すごくすごく熱い。高熱だ。

絶対昨日の雨が原因だ。

もしあのときすぐに温かいシャワーを浴びていたら、風邪を引かずに済んだかもしれないのに…。


「遥斗ごめんね……」

そっとつぶやく。


寒い思いさせて、不機嫌にさせて……。


昨日のカラオケの部屋に戻れたらどんなにいいか。

そうしたらわたしは帰るときに必ず鍵を落としていないか確認するのに。


だけど時間を巻き戻すことなんてできない。

もしそんなことができたら………わたしは一番に遥斗にこの気持ちを伝えたい。


遥斗に嫌われてはじめて気づいたこの気持ち。

遥斗にどんなに冷たくされたって、ずっと消せないこの気持ち。


「遥斗………好きだよ………」


このときはじめて………この想いを自分の言葉にした。


言葉にするとみるみる溢れて、遥斗が愛しくてたまらなくなった。


溢れさせるだけ………無駄なのに。

遥斗には百合ちゃんがいるんだから……。


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