お嬢様は恋をしません。
「なんか、莉緒に黒の方がいいって言われた」



すると時雨は頭にはてなを浮かべた。



「…ん?莉緒?…金持ちマドンナのこと?」



「うん、そう」



「仲よかったっけ?」



時雨は俺のことを無垢に見つめる。



「まぁ、中学一緒だったから」



「…ふーん、初耳」




時雨は無口で、女の子の間ではクールでかっこいいと騒がれているけど、実際は何も考えてなくて、ただ、ぼんやりしてるだけ。



これでよくバスケ部に入ったよなって思うけどなかなかうまいらしい。




「…そういえば、お前今どこ住んでんの?」



「え?」



「…言ってたじゃん、交通事故で亡くなったって」




あ、そういえばこいつには言ったんだっけか…。



これは、本当のこと言った方がいいのか…?



でも、朝の莉緒の様子だと、みんなと同じように過ごしたい感じだったし、あまり警護とか言ったら、ダメかなぁ。
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