お嬢様は恋をしません。
「ん、帰ろ」



そう言って、莉緒を連れて駅まで行く。



「奏多、今日は家に帰ったら寝ようと思うの」



「うん、いいと思うよ。課題とかないみたいだし」




電車に乗り込んだ莉緒は今朝とは違って空いている席に座った。



帰りは混まないから有難い。



「あ、そうだ」



「ん?どしたの?」



「明日朝から湊の朝練が始まるから、今朝の湊音の役割が奏多に回りますっ」




元気よくそう言った莉緒は嬉しそうにニコニコしている。




今朝のあれは、あれだよね?



壁ドン的なあれだよね?



俺がするの?



絶対的に手が短いですけども…。




「まじか」



「まじだ」




そう言って莉緒はスマホを触っていた。



…先が思いやられる。



この先どんな無理難題を押し付けられるか…。



壁ドン…。



はぁ…。



身長が欲しい…。



湊音、分けて…?
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