お嬢様は恋をしません。
家に帰るといつも通りの莉緒に戻った。



気怠げにあくびをすると、そそくさと部屋に入って行った。



多分、寝たんだろう。



俺も、労働時間外になったし、寝よう。



寝足りない。



多分、夜まで起きれないかな…。




そう思いながら、ベットに入り込んで目を閉じた。





目を覚ましたのはそれから1時間も経っていない頃だった。



スマホに電話がかかってきたのだ。



寝ぼけ眼で応答する。




「…もしもし」



「奏多。起きなさい。私の部屋に来て。早く」




電話の主は莉緒だった。



そして焦ったような声が耳元で聞こえる。




「…ん、すぐ行く」




俺は部屋着のTシャツにスウェットというダサすぎる格好で莉緒の部屋に向かった。




コンコンコン




「…莉緒?」



「入ってきて、早く」



扉を開けると、莉緒はベットの上にちょこんと座ってクッションを抱きしめていた。
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