今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
用意されていたバスタオルで身体を拭き、一緒にあったバスローブをとりあえず身に付ける。
髪を乾かそうとドライヤーを手にしたところで、バスルームのドアがノックされ「失礼いたします」と女性の声が聞こえた。
「お着替えの方をお持ちしました」
どうやら、さっき部屋まで同行してくれたスタッフのようだ。
沙帆は「はい、開けます」と返事をし、急いでドアを開ける。
「お待たせいたしました」とスタッフの女性は紙袋を手渡し、必要以上に何かを言うことなく去っていった。
手渡された中には、更にギフトボックスのような箱が入っていた。
磨かれ光る広々とした洗面台へとそれを載せ、そっと箱を取り出す。
そこには見知ったブランドのロゴが入り、中には、上品なネイビーのワンピースが入っていた。
高級だと思われるシルク生地。
広げてみると五分袖ほどあり、丈は膝までありそうだった。
一緒に、ブラックで揃った下着とストッキングも用意されている。
(見ず知らずの私に、ここまで手配してもらって申し訳なさすぎる……)
とりあえず髪を乾かさないことには着替えもできないことに気付き、再びドライヤーを手に取った。