今夜、夫婦になります～俺様ドクターと極上な政略結婚～

身なりを整え、使わせてもらったバスルームを片付けてから、静かにドアを開けて外へと出ていく。

キョロキョロと左右と見回すと、クリーム色のクロスとバスルームと同じダークブラウンの扉が他にも二つ並ぶ。

電球色の淡い照明がともる通路から、導かれるようにして奥へと足を運んでいくと、巨大なガラス窓に部屋が覆われたような開放的なリビングルームが現れた。

（この部屋って、スイートだったんだ……）

足元を柔らかく受け止める濃紺色の絨毯にはパターン模様が入り、置かれているソファーなどの家具は艶のあるダークブラウンで統一されている。

窓を飾るカーテンは絨毯と同じ色合いだった。

天井まで伸びたピカピカのガラス窓の先には、日が落ち光が眩く夜の街が覗く。

その前に、片手でスマートフォンを操作する鷹取の姿があった。