今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
唐突なフレーズに、沙帆はことごとく怯んでしまった。
(エンゲージリングって、婚約指輪だよね⁈ あの、大きなダイアモンドとか載ってる、あれだよね⁈)
そうこうしているうちに店舗へと足を踏み込んでしまい、漂う格式高い雰囲気に鼓動が速まった。
男性に連れられアクセサリーを見に行くことなんて、沙帆の人生において初めての経験。
どんな顔をしたらいいのかもわからず、つい俯き加減になってくる。
そばから「いらっしゃいませ」と女性の声が聞こえてきて、沙帆はそっと視線を上げた。
「本日は、どういったものをお探しで」
「エンゲージリングを見せてもらいたいのですが」
普段は聞くことのない丁寧な口調で怜士は伝えると、店舗スタッフはすかさず「それは、おめでとうございます」と事情に祝いの言葉を添える。
そして「ご案内いたします」と、洗練された所作で二人を奥へと案内した。