今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


「気に入るものって……どれも、素敵ですけど……」


何か言いづらそうに声をひそめる沙帆の様子に、怜士は女性スタッフに「少し二人で見させてもらえるかな」と申し出る。

スタッフは「ごゆっくりどうぞ」と上品な微笑を浮かべて離れていった。


「すみません、ありがとうございます……」

「どうした」

「いえ。突然のことだったので、頭がついていかなくて……すみません」


買い物をして帰ろうと思っていた時間が、エンゲージリングを求めに一流ブランドショップに訪れるという急展開になってしまった。

加えて、その辺のお店でショッピングでもするノリで「どれがいい?」と言われても、怯んでしまう。


「なんだ、謝ってばっかだな」


怜士はフッと笑って、ガラスケースの中に目を落とした。


「そんなに悩まないで、好きだと思うもの選べばいいだろ。エンゲージリングは、小道具の一つなんだし」

(小道具……?)


さらりと出てきた怜士のその言葉に、沙帆は今になってハッと覚醒した気分になった。

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