今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「あそこのケーキがめちゃくちゃ美味しいんです!」
声を弾ませて沙帆は言う。
「有名なのはベイクドチーズケーキなんですけど、あそこのショートケーキがほんと美味しくて。生クリームが違うんですよ! でも、うちの母はあの店のアップルパイが好きで、よく買ってくるんですけどね。そのアップルパイも実がごろごろ入ってて――」
真剣に力説する様子はかなり楽しそう。
(何、そんなに好きなの?目キラキラさせちゃって)
怜士はそんな沙帆の姿に、つい口元が緩む。
密かに笑われていることに気付いた沙帆はハッとして〝やってしまった!〟みたいな恥ずかしそうな顔を見せた。
「怜士さんは甘いものは、嫌いですか?」
「あまり自分から好んでは食べないな」
「そうですか……」
「でも、そこまで絶賛なら一回くらいは食べてみてもいいかもな」
穏やかな怜士の返事に、沙帆はパッと表情を明るくさせる。
「はい! じゃあ、今度機会があったら!」
そのころころと変わる豊かな表情に、怜士はまたフッと笑みを浮かべていた。