今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「あっ……」
触れてきた怜士の指の感触に、沙帆は驚いた声を漏らす。
それでも目を開けることができず、薄目を開けてはすぐにぎゅっとつむってしまう。
早く目を開けようと震えるまぶたと、滲み出てくる涙に、怜士は沙帆の頬を両手で包み込み唇を寄せた。
「っ……怜士、さん?」
そっとまぶたに口付けを落とすと、沙帆は無理してしみる目をこじ開ける。
潤んだ目で怜士を見上げると、例のごとくその顔は一気に紅潮していった。
沙帆のぷっくりとした唇を、このまま奪ってしまいたい衝動に駆られる。
しかしそこをぐっと堪え、頬をひと撫でして沙帆から手を引いた。
「泣きすぎ」
「だ、だって……玉ねぎ苦手なんです」
次第に開いてきた目をパチパチと瞬かせ、沙帆は再び包丁を握った。