今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


「沙帆先輩も、あの時言ってくれてたら、私がその元彼にガツンと言ってやったのに……」

「花梨ちゃん、ほんとに言いそうだな」

「言いますよ! その浮気相手とも破局するように、恥かかせてやりますよ!」


沙帆の代わりに怒りまくる花梨の姿に、上に上がった沙帆はハンディクリーナークリーナーの電源を入れながら苦笑した。

「怖い怖い!」なんて笑いつつも、こんな風に自分のために怒ってくれる花梨の気持ちが嬉しくもある。

人の気持ちに寄り添うことのできる花梨は、優しく思いやりのある子だと、沙帆は改めて彼女が好きになった。


「花梨ちゃん、ありがとうね」

「いえ! 私は何もしてないですから! あの場で何もできなかったのが心残りですよ……」

「ううん、そんなことない。花梨ちゃんが怒ってくれてるの見て、なんだかスカッとしちゃってるもん、私」


沙帆の言葉に、花梨は「本当ですか?」と、パッと花が咲いたように表情を輝かせて顔を上げる。

その表情に、沙帆はふふっと笑みをこぼした。

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