今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「それにしても、いくら考えてもわからないですもん。沙帆先輩みたいな彼女がいるのに浮気するっていう心理が!」
「いやいや、私、騙しやすいのかもしれない……初めてじゃないし、昔も同じようなことあったし」
「えぇ⁈ だから、なんで沙帆先輩が彼女で浮気できるのって話ですよ!」
「私にも原因があるからだよ」
声を荒げる花梨を横目で見下ろして、沙帆は苦笑を浮かべることしかできない。
付き合っても、男性が満たされる満足なお付き合いができない自分にも非がある。
その理由は、さすがに花梨にも打ち明けられない辛いところだ。
ガラス窓の向こうには、吹き荒れた台風の爪痕が見受けられる。
青々とした木の葉が散乱し、どこかから折れて飛んできた太い枝も多く落ちている。
外では、病院の職員と思われる数人がその片付けを行なってた。
「その時の話ですけど……助けてくれた人って、もうどこの誰だかわからないんですよね?」