今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
勝手な解釈で一人再びドキドキとしてきてしまった沙帆は、ぎゅっと握った両手を胸の前で組んだ。
「で? どうする」
「へ……⁉︎」
妙に落ち着きのない沙帆の反応に、怜士は小さく息を吐き出す。
保っていた距離を突然詰められて、沙帆はハッと息を呑んだ。
すぐ目の前に整う綺麗な顔がきて、自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。
「この見合い、進めるかどうかって話」
「っ、進めるかどうかって、そんな、いきなり言われ、きゃっ――」
迫られたことで後ずさった沙帆は、池の縁の置石に草履を引っ掛け体勢を崩す。
すぐ背後に広がる池に吸い込まれるように、身体が大きく傾いた。
池に落ちるなんて――そう思ったとき、手首を引かれ、力強く腰を抱き込まれた。