今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
「でも、やっぱり女にはモテてたな、当時から」
「それは、なんとなく想像つくかも……」
手を合わせて「いただきます」と箸を手にし、沙帆はぼんやりと怜士のことを頭に思い出してみる。
お互いずぶ濡れだった出会いから、派遣先で再会したドクターの姿。
会うたびに、彼の発している何か特別なオーラに確かに惹きつけられた。
容姿がいいというだけではない、その人が持ち合わせている独特な雰囲気。
それは、それまでの人生やその人の考え方、そういったもので作り上げられていくのかもしれない。
「ミスコンで優勝した子を連れてたとか、歳上っぽい綺麗な女といるところを見かけたとか、そんな噂はちょくちょく話題に聞いたけど」
「ふ〜ん……」
「……あっ、当時は、だからな? 今は、沙帆とお見合いをするくらいなんだから、それはもう真面目にやってるはずだろ」
(どうだろうか……。私に結婚しても好きな男ができたら容認すると言うくらいだ。自分もそのつもりなのかもしれないし……)
「ていうか、もしそうじゃなかったら、お兄ちゃんが許さないって話だしな!」