からめる小指  ~愛し合う思い~
千尋が携帯を取ることはない。

別れたんだから………………。

「あれ程『別れる心配をするくらいなら、一緒にいる努力をした方が良いよ』
って言ったのに。」と樹に説教されるが………もっともだ。

15日の今日……………

俺は全く使い物にならず…………

飲みに出た。

樹の隣で

「目を瞑ってやったのに。
君は本当にアホだなぁ~」と、もう一人俺に説教をする。

「でもまさか、大川先生に気づかれてたとは。
俺と遥の事も??」

「遥と言うのも………ウチの生徒か?」

「ゲッ!」

大川先生と樹の会話を肴に、飲むペースが進む。

千尋を可愛いがる大川先生は………姉ちゃんの担任を2年していたそうだ。

その縁で、千尋を放送部に勧誘して見守っていたらしい。

家庭の事情を知っていたから………余計、気になったと………。

千尋を見ていたら、俺との付き合いは直ぐにピンときたと言った。

教師としては、もちろん反対すべきなんだが………

幸せそうにしている千尋を見ていると

少しくらい目を瞑っていようと……。

それなのに、別れたと樹と話す声がして………連れ出された。

「ちょっと。」

樹の会話をさえぎり、電話をかける大川先生。

「唯かぁ~。久しぶりだなぁ。元気かぁ?」

唯。

この名前を知っている。

最近、千尋から聞いた。

俺の背中に激震が走った。

「千尋はいるか?卒業式の事で…………」

放送部は、卒業式のラストの放送のみ卒業生が行う。

その相談だと説明しているが…………

このタイミングで、それはないと俺と樹は知っている。

「おぉ、千尋かぁ。
今ここに、ヘタレが酔いつぶれてるんだよ。
教師としてダメな上に、彼氏としてもっとダメな奴が。
お前、出れるか?
俺と樹先生が守ってやるから…………バカな男にチャンスをやってくれ。
後、30分で家の前に行く。」

……………………………。

樹は大笑いし………俺は、酔いが覚めた。

得意顔の大川先生は……

「シャンとしろ!」と背中を叩く。
< 122 / 126 >

この作品をシェア

pagetop