短編集 【善人のフリした悪人】
小学6年生だったある日、
少女の心は壊れた。
ピアノの稽古を終えて帰宅する途中、
帰り道にあった神社で何者かによって拉致され、
恐怖とパニックで泣き叫び続けながら、
そのまま複数の人間から性的暴行を受けた。
その日以来、
歌う力を、音を楽しむ力を、
感情を失った少女。
それでもトムは、少女の親に内緒でそれからも毎年ギフトを贈っていた。
16歳を過ぎ、“子供”の定義を外れた後も、サンタ協会は彼女を例外として認めていた。