焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲
どうせなら最後まで見て行こうとなり、見やすい後ろの方で他愛ない話をしながらその時を待つ。

するとなぜかみどりは急に、ソワソワし出した。

「あー! えっと……私、やっぱり帰ろうかな」

「え、なにを急に」

ついさっきまでどんな花火が打ち上がるのか楽しみって言っていたのに。

「そろそろ花火、始まるよ?」

「うん、だから杏はゆっくり見てきなよ」

「なに言って……」

ふと、みどりが私の後ろの方ばかりを、チラチラ見ていることに気づく。

なに? 後ろになにかあるの?

不思議に思い振り返ると、そこには気まずそうに立つ織田くんの姿があった。

「え……織田くん?」

驚く私に彼は頭の後ろに手を当てた。

「悪い、上司に少し抜けて花火を見て来てもいいって言われて……」

そこまで言うと、みどりが声を遮った。

「そういうわけで杏! 私はここで! じゃあね!!」

一方的に言うとみどりはあっという間に駆けていってしまった。

「あ、みどり!?」

すぐに彼女の名前を呼ぶものの、一度も振り返ることなく。
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