恋愛に無関心の院長が恋に落ちるわけがない
「パパは、私たちに辛い困難を受け入れる強い心をプレゼントしてくれた。今まで、毬といっしょだから乗り越えられた」
「これから困難にぶつかったときは、僕もいっしょに乗り越えます」
「毬、こうして人は強くなるの。支え合うから強くなれるの」
ママの言葉に院長の手を強く握ったら、ぎゅっと握り返してくれた。
「いつか、あなたにも家族ができる」
お父さんとママみたいにね。
「そのときは、パパがプレゼントしてくれた困難を乗り越える強い心と、明彦くんがプレゼントしてくれた人を優しく守る強い心で支え合うの」
「ママは、勇気をもって前に進む強い心をプレゼントしてくれた。ありがとう。いつも励ましてくれてありがとう」
体をふたつに折って両手の中に顔を埋めて泣いた。
「この子、初めて私の前で涙を流した。毬は自分が耐えればいいって、背負い込んでしまう。ネガティブな感情は自分の心に閉じ込めてしまう」
お父さんのこともルカのことも、泣いていたのを隠していた私のことを、ママはすべてわかっていたんだ。
承知で何事もないように、ふだん通りにしていてくれたんだ。
ママは心配でたまらなかったんでしょ。なのに、なにも聞かないで普通にしていてくれた。
私が脱するって、信頼して見守ってくれていた。
きつく目を閉じると、こらえていた最後の砦が壊れたように、涙が止めどもなく溢れ出した。
「僕には全力で、ぶつかってきます」
さりげなくティッシュを渡してくれて、そのあとすぐに背中が温かくなった。
ありがとう。撫でてくれる大きな手と愛情が熱い涙に変わり、幾筋もの涙が頬に筋を作り流れ落ちる。
「それなら安心した。毬が心を解放して、本当の自分をさらけ出せるのは、明彦くんの前だけなのね。いつも毬を楽にしてくれてありがとう」
院長が肩を抱き寄せ、さすってくれた。
「大丈夫、俺がいるから」
院長からの、この言葉に何度も安心をもらった。
『大丈夫だよ、僕がいるから』そう言っていた幼いころから。
「パパのお墓参りでの、明彦くんのことを毬から聞いてるの。明彦くんのおかげで、毬がひとりで、抱え込まなくなって感謝してる。毬は明彦くんといるから、私も安心」
「安心して僕に任せてください、必ず守ります」
「ありがとう。明彦くん、毬をよろしくね」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
携帯を切った院長が、なにも言わずに抱き寄せ、さすってくれる温かさが、私の心を解き放つ。
院長の前では泣いてもいいんだ。オロオロしないで、しっかりと私を受け止めてくれる。
院長の存在が私の中で、日々大きくなっていく。
「すっきりしたか」
しばらくして、乱れていた呼吸が落ち着いてきた私の耳に優しい声が届いた。
「ライトに反射した涙が輝いている。幸せの涙は、こんなにも美しいものなのか」
「幸せの涙って甘いんですね」
「その甘さも嫌いではない」
頬をつたう大粒の涙を指先で拭ってくれた。
「これから困難にぶつかったときは、僕もいっしょに乗り越えます」
「毬、こうして人は強くなるの。支え合うから強くなれるの」
ママの言葉に院長の手を強く握ったら、ぎゅっと握り返してくれた。
「いつか、あなたにも家族ができる」
お父さんとママみたいにね。
「そのときは、パパがプレゼントしてくれた困難を乗り越える強い心と、明彦くんがプレゼントしてくれた人を優しく守る強い心で支え合うの」
「ママは、勇気をもって前に進む強い心をプレゼントしてくれた。ありがとう。いつも励ましてくれてありがとう」
体をふたつに折って両手の中に顔を埋めて泣いた。
「この子、初めて私の前で涙を流した。毬は自分が耐えればいいって、背負い込んでしまう。ネガティブな感情は自分の心に閉じ込めてしまう」
お父さんのこともルカのことも、泣いていたのを隠していた私のことを、ママはすべてわかっていたんだ。
承知で何事もないように、ふだん通りにしていてくれたんだ。
ママは心配でたまらなかったんでしょ。なのに、なにも聞かないで普通にしていてくれた。
私が脱するって、信頼して見守ってくれていた。
きつく目を閉じると、こらえていた最後の砦が壊れたように、涙が止めどもなく溢れ出した。
「僕には全力で、ぶつかってきます」
さりげなくティッシュを渡してくれて、そのあとすぐに背中が温かくなった。
ありがとう。撫でてくれる大きな手と愛情が熱い涙に変わり、幾筋もの涙が頬に筋を作り流れ落ちる。
「それなら安心した。毬が心を解放して、本当の自分をさらけ出せるのは、明彦くんの前だけなのね。いつも毬を楽にしてくれてありがとう」
院長が肩を抱き寄せ、さすってくれた。
「大丈夫、俺がいるから」
院長からの、この言葉に何度も安心をもらった。
『大丈夫だよ、僕がいるから』そう言っていた幼いころから。
「パパのお墓参りでの、明彦くんのことを毬から聞いてるの。明彦くんのおかげで、毬がひとりで、抱え込まなくなって感謝してる。毬は明彦くんといるから、私も安心」
「安心して僕に任せてください、必ず守ります」
「ありがとう。明彦くん、毬をよろしくね」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
携帯を切った院長が、なにも言わずに抱き寄せ、さすってくれる温かさが、私の心を解き放つ。
院長の前では泣いてもいいんだ。オロオロしないで、しっかりと私を受け止めてくれる。
院長の存在が私の中で、日々大きくなっていく。
「すっきりしたか」
しばらくして、乱れていた呼吸が落ち着いてきた私の耳に優しい声が届いた。
「ライトに反射した涙が輝いている。幸せの涙は、こんなにも美しいものなのか」
「幸せの涙って甘いんですね」
「その甘さも嫌いではない」
頬をつたう大粒の涙を指先で拭ってくれた。