総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


幻さんの雰囲気、そんなに変わったのかな。

わたしは昨日からの幻さんしか知らないし、鬼なんて言われているところは本当に想像ができないよ。


「いらっしゃいませ〜」

「どうぞご覧下さいませ〜」

「ありがとうございました〜」


ショップ店員さんの声って、どうしてみんな、あんなに高くて可愛いんだろう。


(どのお姉さんも、綺麗だな)


私服を数着と、仕事用らしいシャツとパンツ、それからスニーカーを買ってもらった。


いくら払ってもらったかわからない。

購入前に値札は確認しているものの、計算する前にささっと会計を済まされてしまい、暗算が追いつかない。


流行りのわからないわたしは、とにかくそのお店の中でセールされていたりお買い得っぽいことが書いてあるものを選びがちだ。


デザインよりも機能性。

たとえば短いスカートだとバイクに乗るのは向いていないだろうから、丈のあるパンツにした。


それでも、どれもとっても素敵なデザインで着こなせるか謎だ。


さっきから、幻さんが汗水流して地道に働いて貯めてきたお金を使いまくっている。

そう考えると心が痛い。


(はやくお金を稼がなきゃ……)


「荷物持ちます! わたしのですから」

「んなことより。ここは一人で行って来い」

「あ……」


目と鼻の先にあったのは、ランジェリーショップだった。

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