イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「王太子妃になりたくないの?」

「……さあ。どうかしら」

 どこか遠くを見る目でエレオノーラが言った。

「エレオノーラ?」

 アディが言うと、エレオノーラは席を立った。

「わたくしも、部屋で勉強するわ。失礼」

「あ、うん……」

 残されたアディとポーレットは、再び目を合わせる。

「エレオノーラ、どうかされたのかしら」

「さあ……でも彼女、初日には王太子妃にふさわしいのはわたくし! とか言ってたのに」

「そうですわよね」

 二人は首を傾げた。
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