イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「やめとくわ。あまりはしたないことをしてまたルースに怒られてもいけないし」

「夕べ、怒られた?」

「怒られはしなかったけど……」

 アディは、初めてルースの本当の笑顔を見た気がする。普段怖い顔をしている時とは違って、屈託なく笑うその姿はどこか子供っぽいようにも見えた。

 そしてその後に見せた、自信に満ちた少し色っぽい顔。アディは、男性がそんな表情をするのを見たことがなかった。

 間近で見たその顔を思い出して、かっとアディの体が熱くなる。

「知らないわ、あんな……ん?」

 アディは、隣にいるフィルを見上げた。

「ねえ、ルースを知っているの?」

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