イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「こんな風に笑ったのは、王宮に来て初めてかも。いつも怖い執事にいじめられていたから」

「ルースは君のことが気に入ってるんだよ」

「どうだか! 絶対面白がっているわ、あれ。いいおもちゃを見つけた猫みたいに私のこと振り回しているのよ」

「ああ、それはいい例えだね」

 フィルもころころと笑う。一緒に笑ったアディは、体の力が抜けていくのを感じた。

 王宮に来て二週間になる。その間、こんなにも気をはっていたのかと、改めて気づいた。

 フィルがどうぞ、というように隣を空けたので、アディは少し距離を置いて同じように腰を賭けた。二人の間に、さっきまでフィルが読んでいた本が置いてある。
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