イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「ルース、彼は」

「誰もいませんでした」

「……は?」

「ここには、誰もいませんでした。あなたも、早く部屋にお戻りください。午後の講義が始まりますよ」

「……」

 どうやら、ルースも彼については語りたくないようだ。彼が何者なのか気にはなるが、知らんふりを決め込んでいるルースにそれ以上追及することも無理だろう。

「ルース、一つ教えてください」

 アディが言うと、ルースは黙ってアディを見つめる。

「王妃様が毒殺されたというのは、本当なのですか?」

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