イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
ほこりのついた金髪をかき上げながら、クレムはため息混じりに言った。
「こっちが聞きたいよ。急になれなれしく話しかけてきたと思ったらこれを取られそうになって……」
クレムは、大事そうに持っていた紙の袋をそっと開けて見せた。そこには、この街の名物の焼き菓子が入っている。
「ビスコティ?」
そういえば彼が絡まれていたのは、この街で一番ビスコティが有名な店だったことを、アディは思い出す。
「ああ」
「そんななりで一人で歩いているから、なにか高価なものだと思われたんじゃない?」
彼は見た目の通り生粋の貴族、この街の子爵の次男坊だ。上品な服装も、今はすっかりほこりにまみれてしまっている。いつもなら執事か使用人がついているのに、今日は珍しく一人だ。
「こっちが聞きたいよ。急になれなれしく話しかけてきたと思ったらこれを取られそうになって……」
クレムは、大事そうに持っていた紙の袋をそっと開けて見せた。そこには、この街の名物の焼き菓子が入っている。
「ビスコティ?」
そういえば彼が絡まれていたのは、この街で一番ビスコティが有名な店だったことを、アディは思い出す。
「ああ」
「そんななりで一人で歩いているから、なにか高価なものだと思われたんじゃない?」
彼は見た目の通り生粋の貴族、この街の子爵の次男坊だ。上品な服装も、今はすっかりほこりにまみれてしまっている。いつもなら執事か使用人がついているのに、今日は珍しく一人だ。