イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「……庭を」

 凪いだアイスブルーの瞳のまま、ルースは静かな声で言った。

「いつか、殿下にお会いする日が来たら、共に庭を散策されるのでしょう?」

 それは、いつかアディが口にしたことだ。

 急に話題を変えたルースに戸惑いながら、アディは聞いた。

「よいのですか?」

 あのときは、暗にばかにするなと叱責と受けたと思ったのに。

「きっと、殿下は喜ばれます。あなたなら……」

 少しだけ背をかがめてアディに顔を近づけたルースの目が、急にきつく細められた。少しだけ乱暴に、ルースはアディの腕を掴んで自分の方へと引き寄せる。
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