イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
自分にはない香りと抱きしめられた腕や胸の硬さに、目の前にいるのが執事である前に一人の男である事を、アディははっきりと思い知らされた。
「覚えておけ」
「……え?」
「これが、俺の匂いだ」
意地悪な声でも、面白がっている声でもない。どこか切羽詰まったようなルースの声に、アディは返す言葉がなかった。
☆
やがてゆっくりと体を離すと、ルースはアディの指に自分のそれを絡めた。そうして離宮へ向かって歩き始めたルースに、引っ張られるようにしてアディはついて行く。
お互い何も言わなかった。
ふわふわとした沈黙に包まれながら、アディは目の前の高い背中を見上げる。
「覚えておけ」
「……え?」
「これが、俺の匂いだ」
意地悪な声でも、面白がっている声でもない。どこか切羽詰まったようなルースの声に、アディは返す言葉がなかった。
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やがてゆっくりと体を離すと、ルースはアディの指に自分のそれを絡めた。そうして離宮へ向かって歩き始めたルースに、引っ張られるようにしてアディはついて行く。
お互い何も言わなかった。
ふわふわとした沈黙に包まれながら、アディは目の前の高い背中を見上げる。