イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「マルセラ・ラガルドです。こちらの離宮に務めております」

「アデライード・モントクローゼスです」

 軽く膝を折って、アディも淑女の礼をとる。

「マルセラ、彼女を部屋までお願いしてもいいですか?」

 ルースが低い声で言った。マルセラは、けげんな顔でルースを見上げる。

「ええ、フィルが見つかったなら私はいいですけど、どうしたの?」

「ちょっと頭を冷やしてきます」

「ルース?」

 不思議がるマルセラにそう言うと、ルースは背を向けて足早に離宮へと戻っていった。

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