イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
本当に、表向きのルースの態度は何があっても変わることがない。けれど今日のアディにとっては、何も変わらないその態度が逆に安心できた

 アディは、一度大きく息を吸うと、つんと口をとがらせる。

「起きていますわ。あまりに退屈な講義だったので少し考えに沈んでしまっただけです」

「そうですか」

 ルースは、壮絶に美しい顔になって笑った。

「では、テンドカル王朝の特徴とその衰退に関して述べてみて下さい」

「え……」

 その王朝について、確かに予習した覚えはある。だが、言葉を詰まらせたアディに、ルースはずい、と詰め寄る。
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