イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
アディは、エレオノーラを見上げる。

「お知り合い?」

「し、知らないわ、こんな男!」

 エレオノーラがうろたえる様を、アディたちは初めて見た。

 他の人間には目もくれず男はまっすぐにエレオノーラの前に歩いていき、そこでひざまずくと、エレオノーラに向かって片手をのばした。

「迎えに来たよ、エリィ」

「な……なによ、いまさら。もう、わたくしは……」

 アディとポーレットは、ぽかんとしたまま二人の様子を見守る。

 熱っぽくエレオノーラを見つめるその目が、何よりも如実に彼の持つエレオノーラへの気持ちを物語っていた。
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