イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「そんなの、やってみなきゃわからないじゃない」

 クレムは、きゅっと形のいい唇を結ぶと、反論するアディの手を取って顔を近づける。

「アディ」

「なによ」

 アディを見つめながら、クレムはかすれた声で低く言った。

「お前はどうしようもないほどおてんばだしガサツだし淑女のたしなみもないが……」

「喧嘩売ってんの、あんた」

「それでも、いつも笑顔で絶対に弱音を吐いたことがないのを俺は知っている」

「へ?」

「そういうところ、俺は好……嫌いじゃない」

「それは、どうも」
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