イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「それよりも、このままなら王太子妃にはアデライードが選ばれそうね」

 急に話を変えて、ポーレットが言った。

「私? なんで?」

「だって、ルースはアデライードがお気に入りですもの」

「まさか! どちらかというと私だけいじめられているのよ」

「そうかしら」

 ポーレットは、はんなりと笑った。

「彼がアデライードを気にかけているのは、見ていてわかるわ。残念だけれど、おそらく殿下には、アデライードが王太子妃としてふさわしいと報告するでしょう」

「私は、ポーレットの方がふさわしいと思うけどなあ」
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