イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
けれど、エレオノーラやポーレットを見て、少しだけ彼女たちがうらやましいと思ってしまった。

 ポーレットのように、その人のことを思い出すだけで頬が熱くなるような気持ちを、自分は知らない。

 そう考えていたアディの胸に、ふいに一人の顔がよぎる。

 思いがけないその人物に、アディはがばりと起き上った。なぜか、体がむずがゆいような熱さを感じる。

「ないない! ないわ! そりゃ、前よりは嫌な奴とは思わないけど……! 思わないけど……」
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