イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
深呼吸をして落ち着いたアディは、月明かりの庭で何かが動くのを目の端にとらえた。
「あら? 何かしら」
タヌキでもいるかと思ったが、大きさからしてどうやら人のようだ。かといって、見回りの衛兵にしては服装がおかしい。フードを被ったその人物は、あたりをうかがうようにして庭の端を横切っていく。その様子を不審に思ってじっと目を凝らしていたアディは、月明かりに照らされたその横顔を見て思わず声をあげた。
「ポーレット?」
「あら? 何かしら」
タヌキでもいるかと思ったが、大きさからしてどうやら人のようだ。かといって、見回りの衛兵にしては服装がおかしい。フードを被ったその人物は、あたりをうかがうようにして庭の端を横切っていく。その様子を不審に思ってじっと目を凝らしていたアディは、月明かりに照らされたその横顔を見て思わず声をあげた。
「ポーレット?」