イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「ウィンフレッドも罪なことをする。あなたにこんなひどい命令を……」

「違います!」

 突然、顔をあげてポーレットははっきりと言った。

「わたくしが、勝手にやったことです。ウィンフレッド様は関係ありません!」

「けれど、あなたが王太子妃候補として王宮に入るように手配をしたのは、ウィンフレッドと縁戚関係にあるあなたの叔父ですね」

 青ざめながらも、ポーレットは気丈にルースを見返して口を開いた。

「……王太子が病弱でもう長くないなんて、やっぱり嘘なんですね?」

「誰かに、そう吹き込まれましたか?」

 返事をしないポーレットに、ルースは淡々と続ける。
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