イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「王太子が病弱なんて王宮のついた嘘だ。王太子妃を迎えて万が一跡継ぎでもできてしまったら、ウィンフレッドはもう王太子になることができない。だが、もしあなたが王太子妃となれば、殿下を殺して王太子をすげかえることはいつでもできる。けれど、他の令嬢が王太子妃になればその機会もなくなる。……あなたが聞いたのは、そんなところですか」

 ポーレットは何も答えない。

「アデライード様が王太子妃になる確率が高まったので、その前に王太子を殺しに来ましたね?」

 唇を噛んだポーレットの表情は、ルースの言葉をそのまま肯定していた。その頬に、涙が伝う。
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