イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「どうしてそうなるのです?!」

「いけませんか?」

「いいわけないでしょう!?」

「そうですね。せっかく王太子妃になれたのに、ここでただの執事に純潔を奪われるわけにはいきませんね」

 急に言われたアディは、一瞬その意味をとりそこねた。そして、気づく。

 エレオノーラがいなくなり、ポーレットが捕縛された今、王太子妃候補として残ったのはアディだけだ。

 このままなら、アディは王太子妃として決定する。

「私……」

 ルースは、ゆっくりと体を起こして、アディの手をとると彼女を立たせた。
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